【Podcast NIHONGO CANDY #127】Aidan's Life in Tokyo 第9話:What Does \"Ookini\" (おおきに) Mean? - Kansai Dialect & Kyoto Trip Conversation

第9話:京都で聞いた「おおきに」

 

土曜日の早朝。今日は、マユさんと一緒に京都へ行く日です。

 

カフェで出会ってから2か月。二人は何度かメッセージをやり取りして、美術館に行きました。そして先週、マユさんが「京都へ行きませんか」と誘ってくれたのです。

 

東京駅の新幹線ホームで、マユさんと待ち合わせしました。

 

「おはようございます、エイダンさん」

 

「おはようございます。今日は、よろしくお願いします」

 

二人は新幹線に乗りました。席に座ると、マユさんがパンフレットを取り出しました。

 

「今日は、まず龍安寺に行って、それから清水寺を見ましょう。時間があれば、祇園も歩きたいです」

 

新幹線が動き出しました。窓の外に、東京の街が流れていきます。エイダンさんは、初めて乗る新幹線に、少し興奮していました。

 

「新幹線、初めてですか」

 

マユさんが聞きました。

 

「はい。すごく速いですね」

 

「そうですね。京都まで、2時間ちょっとで着きますよ」

 

窓から、富士山が見えました。

 

「あ、富士山!」

 

「きれいですね。今日は天気がいいから、よく見えます」

 

エイダンさんは、スマートフォンで富士山の写真を撮りました。

 

「新幹線って、静かで、ゆれないですね。日本語で何て言うんですか、comfortable...」

 

「快適、ですね」

 

「そう、快適です」

 

あっという間に、京都駅に着きました。

 

駅を出て、タクシーに乗りました。

 

龍安寺に着いて、二人は静かな境内を歩きました。

 

縁側に座って、石庭を眺めました。白い砂に、15個の石が置かれています。他には何もありません。その静けさと美しさに、エイダンさんは感動しました。

 

「不思議ですね。何もないのに、美しいです」

 

「禅の庭なんです。見る人によって、いろいろな感じ方ができるんですよ」

 

エイダンさんとマユさんは、しばらく静かに庭を眺めていました。

 

次に、二人は清水寺へ向かいました。長い坂道を登って、お寺に着きました。

 

「ここから京都の街がよく見えますよ」

 

舞台に立つと、京都の街並みが広がっていました。

 

「わあ、きれいですね」

 

「春は桜、秋は紅葉がきれいなんです。また、違う季節にも来てみてください」

 

お参りを済ませて、二人は坂道を下りました。

 

「お腹、空きましたね。お昼ごはん、食べましょう」

 

2人は、小さな蕎麦屋に入りました。

 

席に座って、メニューを見ました。

 

注文を済ませて、少し待つと、蕎麦が運ばれてきました。

 

エイダンさんは、蕎麦を一口食べました。

 

「おいしいです」

 

「気に入ってよかったです」

 

食べ終わって、レジで支払いをしているとき、店員さんが言いました。

 

「おおきに」

 

エイダンさんは、この言葉を、初めて聞きました。

 

店を出てから、マユさんに、たずねました。

 

「おおきに、ってどういう意味ですか」

 

「京都や大阪では、ありがとう、という意味で使うんですよ」

 

「そうなんですか。東京では、聞いたことがなかったです」

 

「日本には、いろいろな方言があるんです。地方によって、東京とは違う言葉を使います」

 

「方言…」

 

エイダンさんは、新しい発見に驚きました。

 

「おおきに、とか、ほんま、とか、めっちゃ、とか。関西の人は、よく使いますよ」

 

午後は、祇園を歩きました。古い町並みを歩きながら、いろいろな話をしました。

 

「エイダンさん、東京での生活、どうですか」

 

「最初は大変でしたけど、今は楽しいです。会社の人も親切だし、マユさんみたいな友達もできました」

 

「友達…」

 

「はい。マユさんは、大切な友達です」

 

エイダンさんが言うと、マユさんは少し寂しそうな顔をしました。でも、すぐに笑顔に戻りました。

 

夕方、二人は京都駅に戻りました。

 

新幹線の中で、エイダンさんは窓の外を見ながら、今日一日のことを思い出していました。

 

龍安寺の庭の美しさ、清水寺からの景色、そして「おおきに」という新しい言葉。

 

「今日は、ありがとうございました。とても楽しかったです」

 

「こちらこそ。また、一緒にどこか行きましょう」

 

東京駅に着いて、二人は改札で別れました。

 

部屋に着いて、今日撮った写真を見ました。龍安寺の石庭、清水寺、そして新幹線の中でマユさんが撮った、二人の写真。その写真の中で、マユさんは笑っていました。

 

でも、エイダンさんは思い出しました。祇園で、「友達」という言葉を聞いたとき、マユさんが見せた、あの少し寂しそうな顔を。

 

「友達…」

 

エイダンさんは、自分が言った言葉を、もう一度心の中で繰り返しました。

 

マユさんは、本当に友達なんだろうか。

 

一緒にいると楽しい。話していると、時間を忘れる。マユさんの笑顔を見ると、嬉しくなる。そして、あの寂しそうな顔を見たとき、胸が少し痛くなった。

 

エイダンさんは、スマートフォンを見ました。連絡先に、「マユ」という名前がありました。

 

メッセージを送ろうと思いました。でも、何を書けばいいのか、わかりませんでした。

 

エイダンさんの心の中で、何かが、少しずつ変わり始めていました。

Hiragana Version

どようびのそうちょう。きょうは、マユさんといっしょにきょうとへいくひです。

 

カフェでであってから2かげつ。ふたりはなんどかメッセージをやりとりして、びじゅつかんにいきました。そしてせんしゅう、マユさんが「きょうとへいきませんか」とさそってくれたのです。

 

とうきょうえきのしんかんせんホームで、マユさんとまちあわせしました。

 

「おはようございます、エイダンさん」

 

「おはようございます。きょうは、よろしくおねがいします」

 

ふたりはしんかんせんにのりました。せきにすわると、マユさんがパンフレットをとりだしました。

 

「きょうは、まずりょうあんじにいって、それからきよみずでらをみましょう。じかんがあれば、ぎおんもあるきたいです」

 

しんかんせんがうごきだしました。まどのそとに、とうきょうのまちがながれていきます。エイダンさんは、はじめてのるしんかんせんに、すこしこうふんしていました。

 

「しんかんせん、はじめてですか」

 

マユさんがききました。

 

「はい。すごくはやいですね」

 

「そうですね。きょうとまで、2じかんちょっとでつきますよ」

 

まどから、ふじさんがみえました。

 

「あ、ふじさん!」

 

「きれいですね。きょうはてんきがいいから、よくみえます」

 

エイダンさんは、スマートフォンでふじさんのしゃしんをとりました。

 

「しんかんせんって、しずかで、ゆれないですね。にほんごでなんていうんですか、comfortable...」

 

「かいてき、ですね」

 

「そう、かいてきです」

 

あっというまに、きょうとえきにつきました。

 

えきをでて、タクシーにのりました。

 

りょうあんじについて、ふたりはしずかなけいだいをあるきました。

 

えんがわにすわって、せきていをながめました。しろいすなに、15このいしがおかれています。ほかにはなにもありません。そのしずけさとうつくしさに、エイダンさんはかんどうしました。

 

「ふしぎですね。なにもないのに、うつくしいです」

 

「ぜんのにわなんです。みるひとによって、いろいろなかんじかたができるんですよ」

 

エイダンさんとマユさんは、しばらくしずかににわをながめていました。

 

つぎに、ふたりはきよみずでらへむかいました。ながいさかみちをのぼって、おてらにつきました。

 

「ここからきょうとのまちがよくみえますよ」

 

ぶたいにたつと、きょうとのまちなみがひろがっていました。

 

「わあ、きれいですね」

 

「はるはさくら、あきはこうようがきれいなんです。また、ちがうきせつにもきてみてください」

 

おまいりをすませて、ふたりはさかみちをおりました。

 

「おなか、すきましたね。おひるごはん、たべましょう」

 

2にんは、ちいさなそばやにはいりました。

 

せきにすわって、メニューをみました。

 

ちゅうもんをすませて、すこしまつと、そばがはこばれてきました。

 

エイダンさんは、そばをひとくちたべました。

 

「おいしいです」

 

「きにいってよかったです」

 

たべおわって、レジでしはらいをしているとき、てんいんさんがいいました。

 

「おおきに」

 

エイダンさんは、このことばを、はじめてききました。

 

みせをでてから、マユさんに、たずねました。

 

「おおきに、ってどういういみですか」

 

「きょうとやおおさかでは、ありがとう、といういみでつかうんですよ」

 

「そうなんですか。とうきょうでは、きいたことがなかったです」

 

「にほんには、いろいろなほうげんがあるんです。ちほうによって、とうきょうとはちがうことばをつかいます」

 

「ほうげん…」

 

エイダンさんは、あたらしいはっけんにおどろきました。

 

「おおきに、とか、ほんま、とか、めっちゃ、とか。かんさいのひとは、よくつかいますよ」

 

ごごは、ぎおんをあるきました。ふるいまちなみをあるきながら、いろいろなはなしをしました。

 

「エイダンさん、とうきょうのせいかつ、どうですか」

 

「さいしょはたいへんでしたけど、いまはたのしいです。かいしゃのひともしんせつだし、マユさんみたいなともだちもできました」

 

「ともだち…」

 

「はい。マユさんは、たいせつなともだちです」

 

エイダンさんがいうと、マユさんはすこしさびしそうなかおをしました。でも、すぐにえがおにもどりました。

 

ゆうがた、ふたりはきょうとえきにもどりました。

 

しんかんせんのなかで、エイダンさんはまどのそとをみながら、きょういちにちのことをおもいだしていました。

 

りょうあんじのにわのうつくしさ、きよみずでらからのけしき、そして「おおきに」というあたらしいことば。

 

「きょうは、ありがとうございました。とてもたのしかったです」

 

「こちらこそ。また、いっしょにどこかいきましょう」

 

とうきょうえきについて、ふたりはかいさつでわかれました。

 

へやについて、きょうとったしゃしんをみました。りょうあんじのせきてい、きよみずでら、そしてしんかんせんのなかでマユさんがとった、ふたりのしゃしん。そのしゃしんのなかで、マユさんはわらっていました。

 

でも、エイダンさんはおもいだしました。ぎおんで、「ともだち」ということばをきいたとき、マユさんがみせた、あのすこしさびしそうなかおを。

 

「ともだち…」

 

エイダンさんは、じぶんがいったことばを、もういちどこころのなかでくりかえしました。

 

マユさんは、ほんとうにともだちなんだろうか。

 

いっしょにいるとたのしい。はなしていると、じかんをわすれる。マユさんのえがおをみると、うれしくなる。そして、あのさびしそうなかおをみたとき、むねがすこしいたくなった。

 

エイダンさんは、スマートフォンをみました。れんらくさきに、「マユ」というなまえがありました。

 

メッセージをおくろうとおもいました。でも、なにをかけばいいのか、わかりませんでした。

 

エイダンさんのこころのなかで、なにかが、すこしずつかわりはじめていました。

English Translation

Early Saturday morning. Today was the day to go to Kyoto with Mayu-san.

 

Two months since they met at the cafe. The two had exchanged messages several times and went to an art museum. And last week, Mayu-san invited him, saying "Would you like to go to Kyoto?"

 

They met at the shinkansen platform at Tokyo Station.

 

"Good morning, Aidan-san."

 

"Good morning. Thank you for today."

 

The two boarded the shinkansen. When they sat down, Mayu-san took out a pamphlet.

 

"Today, let's first go to Ryoanji Temple, then see Kiyomizudera Temple. If we have time, I'd like to walk around Gion too."

 

The shinkansen started moving. Outside the window, the Tokyo cityscape flowed by. Aidan was a little excited to ride the shinkansen for the first time.

 

"Is this your first time on the shinkansen?"

 

Mayu-san asked.

 

"Yes. It's very fast."

 

"Yes, it is. It takes just over two hours to get to Kyoto."

 

Through the window, they could see Mount Fuji.

 

"Oh, Mount Fuji!"

 

"It's beautiful. The weather is good today, so you can see it well."

 

Aidan took a picture of Mount Fuji with his smartphone.

 

"The shinkansen is quiet and doesn't shake. What do you say in Japanese, comfortable..."

 

"Kaiteki, right?"

 

"Yes, kaiteki."

 

In no time, they arrived at Kyoto Station.

 

They left the station and got in a taxi.

 

Arriving at Ryoanji Temple, the two walked through the quiet temple grounds.

 

They sat on the veranda and looked at the rock garden. Fifteen stones were placed on white sand. There was nothing else. Aidan was moved by the quietness and beauty.

 

"It's mysterious. It's beautiful even though there's nothing."

 

"It's a Zen garden. Different people can feel it in different ways."

 

Aidan and Mayu-san quietly gazed at the garden for a while.

 

Next, the two headed to Kiyomizudera Temple. They climbed a long slope and reached the temple.

 

"You can see the city of Kyoto well from here."

 

Standing on the stage, the Kyoto cityscape spread out before them.

 

"Wow, it's beautiful."

 

"In spring the cherry blossoms are beautiful, and in autumn the autumn leaves are beautiful. Please come again in a different season."

 

After praying, the two walked down the slope.

 

"I'm hungry. Let's eat lunch."

 

The two entered a small soba restaurant.

 

They sat down and looked at the menu.

 

After ordering, they waited a bit and the soba was brought out.

 

Aidan took a bite of the soba.

 

"It's delicious."

 

"I'm glad you like it."

 

After eating, when they were paying at the register, the clerk said:

 

"Ookini."

 

Aidan heard this word for the first time.

 

After leaving the shop, he asked Mayu-san.

 

"What does 'ookini' mean?"

 

"In Kyoto and Osaka, they use it to mean 'thank you.'"

 

"I see. I've never heard it in Tokyo."

 

"Japan has many dialects. Depending on the region, they use different words from Tokyo."

 

"Dialects..."

 

Aidan was surprised by this new discovery.

 

"Ookini, honma, meccha... People in Kansai use them a lot."

 

In the afternoon, they walked around Gion. While walking through the old streets, they talked about various things.

 

"Aidan-san, how is life in Tokyo?"

 

"It was hard at first, but now it's fun. The people at the company are kind, and I've made friends like Mayu-san."

 

"Friends..."

 

"Yes. Mayu-san is an important friend."

 

When Aidan said this, Mayu-san looked a little sad. But she quickly returned to a smile.

 

In the evening, the two returned to Kyoto Station.

 

On the shinkansen, Aidan looked out the window and thought back on the day.

 

The beauty of Ryoanji's garden, the view from Kiyomizudera, and the new word "ookini."

 

"Thank you for today. I had a great time."

 

"Me too. Let's go somewhere together again."

 

Arriving at Tokyo Station, the two parted at the ticket gate.

 

He got to his room and looked at the photos he took today. Ryoanji's rock garden, Kiyomizudera, and the photo of the two of them that Mayu-san took on the shinkansen. In that photo, Mayu-san was smiling.

 

But Aidan remembered. In Gion, when she heard the word "friend," that slightly sad look Mayu-san showed.

 

"Friend..."

 

Aidan repeated the words he had said in his mind once more.

 

Is Mayu-san really just a friend?

 

It's fun being together. When talking, he forgets the time. When he sees Mayu-san's smile, he feels happy. And when he saw that sad face, his chest hurt a little.

 

Aidan looked at his smartphone. In his contacts was the name "Mayu."

 

He thought about sending a message. But he didn't know what to write.

 

Something in Aidan's heart was beginning to change little by little.

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